1.初心者は、技を大きく、時間を短く、一生懸命に稽古すること。
2.姿勢、態度を正しくすること。
3.剣道は姿勢が大切である。姿勢悪ければ剣道ではない。
4.中段の構えで右足先が外を向いていてはいけない。
このような人はいくら稽古しても無駄である。
5.左手の親指は、下を向くように握ること。
6.中段の構えは、左手は臍の高さぐらいで少し前に出し、
右手は添え手であるから打つ刹那だけに力を入れて直ぐに緩めること。
左手はいつでも放さぬようにして、
面を打っても太刀を横にして敵を押さずに、
中段に構えて残心を示すこと。
右手に常に力を入れていては上手な打ちはできない。
7.立ち上がると、すぐ右に廻る人があるけれども、最も悪い。
足の親指だけでも前に出る気分大切なり。(剣先弱くなる。)
8.前足を出したら後足を必ずつけること。
後足さがれば前足必ずつけること大切なり。
9.近間で打ち合う稽古よくない。
10.なるべく遠間より打ち込むべし。
11.初心者は面と小手を習うこと。突きや胴は自然にできる。
12.攻めて勝って打つこと。打って勝つのはよくない。
13.右足を出して面を打つこと。此のとき右足は前に出すだけで、
床に着けぬようにすること。
14.前足をあまり上げて踏み込むのはよくない。
床に摺り足で出るようにすること。
15.敵の剣先を当方より外して打つこと。
16.相手の出端、退き際以外打つところなし。(出小手軽くとも一本。)
17.ある程度まで上達すれば、足の運びを研究すること。
前足出たら後足必ずつけること。
18.敵に隙あらば、剣先を下げて敵の右手こぶしを攻め、
敵のびくつくところを攻めると共に、打ち突くこと。
19.剣先を下げて攻めるとき、一緒に腰を下ろすことよくない。
むしろ半歩程でも乗る気持ちにて出て、
敵さがればすぐに面を打って出ること。(攻め右手こぶしより突き。)
20.切返しは、肩の悪い力を取り去る為で、肩を上げずに楽にして、
両手を頭上に振りかぶり(両腕の間より敵の姿が見える程度まで)、
そこから敵の両鉢を割るごとく打つこと。
面金の三本目位のところを斜め上より打つこと。
水平に竹刀を廻してはいけない。
剣先が、背骨に付く程迄振りかぶるのは、
一を知って二を知らぬというものである。
又、受け方は、相手の力を引き出すようにして、
上より下になやす気持ちで受けること。
決して「弾き」返すような受け方はしない。
そして相手がなるべく前進するように受けて、
退がれなければ、廻りこんででも受けてかまわぬ。
そして、相手が疲れるまでやらせ、疲れたら面を打たせる。
その最後の面は、物打ちの当る間合(一足一刀)から打ち込ませるが、
この時、一呼吸してもかまわぬ。
この最後の面一本が大切であり、試合のときに出る面である。
21.打ちそんじたら相手に打たれ、突かれると思って稽古すること。
22.間合いに気をつけて稽古すること。
必ず先の気分で打って出て、機会であると思ったら当らなくても、
不十分であっても、
打って出る稽古が大切である。(落ちる稽古をする。)
23.敵の起こりを、なるべく小さく打つこと。
24.打とうと思ってから打っては、最早遅い。
打たんと思ったときには、最早打ってしまっておらねば駄目なり。
25.打つときは、右手にて押しやるようにし、
足と腹と腕とを十分一致して打つこと。
26.体当たりは、敵の腕を上に押し上げるように当ること。
27.三角矩に構えて、敵の出てくるところを利用して敵を打つべし、
気分はどこまでも「先先の先」にて、
どんなに苦しくとも頑張って構えていると返ってよし。
敵打ちこんできても不十分で駄目なり。
28.敵打って来たとき、かまわずにいて、構えをくずさずに一歩前に出れば、
当方の剣先が敵の中心につくから、
打たれても気分まで打たれず、打たれたという気起こらない。
29.面を打った後、頭上に振りかぶらず、必ず残心を示すこと。
30.敵打って来たらば、横に払わずにすり上げて打つこと。
31.引き面を打ったとき、打ったらすぐに頭上に振りかぶらないこと。
32.小手を打ったとき、身体を左方に曲げて打たずに、真直に打つこと。
33.右小手は物うち、左小手は太刀の中程、面打ちに対しては、
真すぐに上にあげてしのぐこと。
横に払ってはいけない。
34.後に退りながら腹に力なく打つ小手は一本にならず。
35.敵突きを出すとき、退らず前に出ること。
36.右胴を打っても、必ず残心を示し相手を見守ること。
37.敵の剣先を押して、そのままならば直ぐに打つこと。
押し返さば裏より打つこと。
38.敵面を打ってきたとき、髪の毛を切られる位こらえて、
敵の手が十分に伸びきったとき、応じて胴を打つ。
応じ小手も同じ呼吸なり。
39.剣先わずかに交わるところより、敵の面を打つには、
敵の剣先を軽く押えて、自分の身体の中心線より外しながら、
振り上げずに小さく面を打つこと。
40.敵の太刀を裏より強く払うことよくない、表より軽く抑えて、
剣先を敵の中心より外さないこと。
41.敵を攻めるとき、我が太刀、敵の太刀の下より廻して、
敵の太刀にからんで進み面を打ち。
敵わが小手を打ってきたときは、手をぐっと前にのばすこと。
(小手一本にならず)
42.上段に構える時、握り締めずに、打つ刹那に締めること。
43.敵は上段、我中段のときは、小手は太刀にて囲い、
左小手は、「つば」にて受ける気持ちで、
そのまま一歩前に出れば打たれない。
44.上段より打って来たとき、手元をあげては打たれるので、
右小手を剣先にて囲い、動じないこと。
45.上段に構えたとき、退ったり、受け身になったりしたら負けである。
46.相上段にて敵小手を打ってきたとき、上体をそらし手を後ろに退かずに、
足さばきにて抜き、すぐ前に出て打つこと。
47.つかれはてても、呼吸を口ではしてならぬ。腹に蓄えられた力が、
みんな出てしまう。
必ず、口を塞いで、鼻で呼吸をするようにすること。
48.自分ばかりうまいことをする気にならず、
間違ったら、相手にもうまいことをさせる覚悟にて稽古すべし。
49.見るに、見と観の二つあり。見は目で見ること。観は心で見ること。
見は小にして過ち多く、観(心で見ること)は、その働き大にして、
敵の動静を未発に察す。
これは実社会の活動においても、非常に効果のあることで、
実に偉大なる価値があり。
観見一致して、剣道の上にも、非常の働きを為すものである。
50.竹刀は、始め長いものを使用(四尺五寸)して、
後、胆力を練るために、短きを使う。
山岡鉄舟先生なども、四尺五寸をつかい、
後に、段々と短くして、遂には、無刀を唱えるに至れり。
以 上
技前
攻めて(位攻め)
我慢して
油断せず
判断よく
決断して
捨て身にて
打ち切る
残心
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